福井県の杉の取引状況(2019)

 

福井県の森林面積は2019年度で約30万haとなっており、さまざまな樹木が生育している特徴が見られますが、その中でも杉の樹木が占める割合が多いです。その理由としては戦後の荒廃した建築物を建て直すために県内でも木材需要が起きており、昭和40年以降に植栽が盛んに行われた事情が存在します。
杉の種類に関しては、福井県内の各地域には24種類も存在し、代表的なものは奥越地区の平泉寺杉、越前地区の味真野系、若狭地区の新庄杉などがあります。もっとも福井県内には縄文時代の古くから存在した樹木が生育されており、気候風土も最適であることでそれが生育しやすい自然環境が揃っています。
実際に県内の材木の取引状況からも約6割が杉の木材となり、生活にも密着した樹木であることも確かです。主な利用シーンに関しては建築物をメインにしますが、その木目と色を売りにしており、構造材や内装材でよく使われます。
また木材においては強度を重要とすることも多いですが、福井県産の杉の強度は全国産の平均値よりも上回っている点も色々な物にも利用されやすいです。実際に県グリーンセンターの調査によれば、120本の供試材のうち9割以上がヤング率E70以上になっていることからも明らかになっています。
しかも近年、増加基調になっているのは合板用と木質バイオマスでの需要が伸びており、原木がそのまま素材で利用されるシーンも増えております。取引状況の中でも価格動向がカギを握りますが、価格自体は杉丸太自体の価格が7%ほどの減少傾向が見られるものの、2019年度もほぼ10年前の水準と比較してもほぼ横ばい傾向になっています。
木材の利用形態には素材と製品の二つのパターンに分かれますが、素材は2016年から約6万uで上昇傾向がありますが、製品に関しては約2万uと上昇傾向が見られます。福井県産杉が徐々に見直されており、新たな利用方法が期待される製品に関しても、将来的にも延べ面積が伸びる可能性があります。

 

 
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