神奈川県のモミの取引状況(2019)

 

神奈川県は大室山や蛭ヶ岳をはじめとする山林に恵まれた土地で、森林面積が県土の39.2パーセントを占め、9万5278ヘクタールの森林のうち国有林は1割だけで9割が林業を営む民有林です。太平洋に面していることから古来より関東の貿易港で栄えてきた神奈川県では、一級河川の鶴見川などの川の流れを利用した木材の運搬が行われ、林業は当時から県民になくてはならない産業として育ってきました。?現代の神奈川の林業は1ヘクタールから3ヘクタールほどの小規模の林家が多く、造林が中心で伐採は県の条例などによって控えられています。?柔らかくて腐りにくいため建材の化粧板などに人気の高いモミの木は、10年ほどで育つことから育てやすく、小規模林家から人気があり、神奈川県とその周辺で一定の取引が行われています。?
以前はモミの木が高騰するのはクリスマスシーズンだけでしたが、近年は樹木を建材の中心とするエコ住宅による需要が高く、取引状況は年々増加中です。?取引相手は森林が少なく伐採に厳しい基準が設けられている東京都や、クリスマスツリーが欲しい神奈川近郊のイベント会社などを中心にモミが出荷されます。?小規模林家の中でも1ヘクタール未満の林家では、体験型農園のようにモミの木の植樹体験イベントなども開催するなど、造林や伐採の概念を超えたイベント商品として転用できるのも神奈川県のモミの取引状況の特徴です。?松ぼっくりの部分にしか害虫が付きにくいことから、モミは害虫駆除のための木材燻蒸処理をしなくてもそのまま建材として使え、加工過程で人工乾燥をする必要もありません。?自然のままの姿を住宅の柱やアクセントに取り入れられることも、環境やデザインセンスに敏感な人達から注目されています。?杉やヒノキと違ってアレルギーを起こしにくく、端材はウッドチップやバイオ燃料などにリサイクルできることから、土に分解できるエコ燃料としても好評です。

 

 
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