沖縄県のモミの取引状況(2019)

 

モミ(もみのき・もみの木)は針葉樹の一種であり、日本では「クリスマスツリーの木」として知られています。樹齢の若いものがクリスマスツリー用の飾りとして、さらに成長したものは木材として様々な用途に活用されています。モミを製材した木材は白っぽい色合いが特徴で、淡い色の樹種を好む日本人に人気があります。さらに吸湿性に優れ抗菌作用を有することから、食に関する道具(割りばし・しゃもじ・おひつ・寿司桶など)の材料に幅広く使われているのです。また神事や冠婚葬祭を司る道具類や、室内の建具の材料に使われることが多く、近年では健康住宅の建築材料としてモミを選ぶ人も増えています。モミは針葉樹の一種であるため比較的寒冷な地域で育つのですが、国内では北海道から九州にまで幅広い地域に自生しています。ただし日本における南の生育限界は鹿児島県の屋久島までとなっており、熱帯の沖縄地域には自生しません。

 

沖縄県における2019年のモミの取引状況については、あまり盛んであるとはいえないようです。これは沖縄県には自生しない樹種であるため他の都道府県からの買い付けが必要であることや、沖縄県には木製品の製造を手掛ける大規模な企業が少ないことなどが理由となっています。さらに沖縄県の人には古来より石造りの家を好む傾向があり、現在でも鉄筋コンクリート造りやコンクリートブロック造りの家が多いという特徴があります。沖縄県の木材協会が発表する「沖縄県の新築住宅着工統計(構造別)」を確認してみると、平成30年度における住宅着工数の83.6%が鉄筋コンクリート造りとなっており、木造住宅は全体の9.7%という結果なっているのです。近年の木造住宅には海外からの輸入建材や、集成材やパーティクルボードなどの加工材料が幅広く使われていることも、天然材のモミの需要が少ない理由のひとつだといえるでしょう。日本の他の都道府県と比較すると、沖縄県では木材そのものの需要が少なく、モミも需要の少ない材料となっています。

 

 
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