高知県のモミの取引状況(2019)

 

土佐と呼ばれていた時代から高知県は漁業とともに林業が盛んで、実際に県の総面積の8割以上が森林となっています。具体的には60万ヘクタール以上もあり、その広大さのおかげで林業の利益は92億円という数字を叩き出した時期があるほどです。おまけに県の森林資源の充実化を目指した働きによって民有の人工林が増加の一途を辿っているため、今後の木材市場が明るい県とも言えます。
そんな高知県のモミの保有数は四国の中でもトップクラスであるものの、地域別で異なっているのが実際のところです。森林管理局が提示する国有林の現状によれば四万十で71、嶺北で115、高知中部で118、そして安芸で58となっています。これらをひとまとめにすれば愛媛県を上回りますが、このように地域別でその自生数もとい生産力が異なるのは高知県の気候と地形によるものです。
高知県は地域によって文化や風土が異なっていますが、四万十川が特徴的な西部に県所在地を有している中部、そして空海の伝承が色濃く残されている東部で風が強かったり晴天が多かったりなどそれぞれに気候の特徴があります。高知県は暖温帯と冷温帯が混在しているエリアや推移していくエリアが多いため、冷温帯林の樹木であるモミはところどころに混在しているのが現状です。
そういった意味では生産しやすくもありますが、モミは風に弱いので海に面している地域には不向きでもあります。
元々他の木材と比較すれば強度の弱さがネックであるモミですが、県外への出荷が6割である県の取引状況を踏まえると利益を確保できる素材に変貌する可能性が大です。先述したように強度が弱いですが、その分美しい木肌をしているうえに臭いもほとんどないので人から好まれやすい木材でもあります。そのため国内の市場では見直されており、徐々にその価値を高めている状態です。県の木材市場の支えは杉と桧であり、モミの取引状況は両者と比べれば劣るものの、市場の活性化を助けるかもしれません。

 

 
トップへ戻る