静岡県のモミの取引状況(2019)

 

静岡県は中部地方に位置し、太平洋に面していることから年間を通して温暖な気候が特徴です。静岡県では明治時代初頭より、浜松市・沼津市・清水市でモミの栽培が盛んで国内有数の出荷量を誇っているほどです。2019年の取引状況は、県内で2019年4月に生産・出荷された数量は約14万トンであるとJA静岡の報告書から見て取れます。この数量は取引状況調査がおこなわれだした1970年から現在までの中で若干減少しており、もっとも生産数及び出荷量が多かった1992年の20万トンと比べると大幅なダウンです。2019年の生産数が減少した原因として挙げられるのは、2018年7月から9月の間に相次いで中部地方を直撃した台風と長雨が起因していると考えられます。特に台風21号の強風によって、モミを育成しているビニールハウスが計270棟もなぎ倒される被害が静岡県内で相次ぎました。事態を重く見たJA静岡では、各モミ農家が所有して被害にあったビニールハウスの再建費用に補助金を適応して、育成・生産に支障をきたさないようにと対策を講じるに至りました。静岡県で生産しているモミは主に関東・信州・近畿地方に出荷をされており、銘柄はコシヒカリとササニシキの2種類になります。コシヒカリに至っては、静岡農林試験場で1990年〜1994年にかけて品種改良がなされたもので害虫に対して強い免疫力を持っているのが特徴です。1kgあたり約1200円で取り引きされていて、この価格は通常のコシヒカリに比べると約1.5倍になっています。モミは静岡県内で生産される農作物の中で、みかんに次ぐ高い取引状況を維持していて県内の農業を支える大切な作物です。2019年以降の静岡県のモミの取引状況の動向は、出荷するまでに安定した生育環境を維持できれば取引状況の悪化は免れるでしょう。また、昨今は米の消費量が国内全体で減少しているため、出荷数の調整をすることも収益の向上をはかるうえで考えるべきことといえます。

 

 
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